インパーマネントロス(IL)は、流動性提供者が直面する最も理解しにくいリスクの一つです。「なんとなく損をする」という感覚はあっても、実際にどのくらいの損失になるかを計算できる人は少ない。この記事では、公式と具体的な数値例を使って、ILを自分で計算できるようにします。

インパーマネントロスとは何か

流動性プールにトークンを預けると、AMM(自動マーケットメーカー)がプール内のトークン比率を自動的に調整します。価格が動くと、プール内の資産構成が変わります。この結果、「プールに預けずに持ち続けた場合」と比べて資産が少なくなることがあります。この差がインパーマネントロスです。「インパーマネント(一時的)」と呼ばれるのは、価格が元に戻れば損失も消えるからです。ただし、価格が戻らなければ損失は確定します。

ILの計算式

ILは価格変動率(r)を使って計算できます。rは「現在の価格 / 預けた時の価格」です。IL = 2 * sqrt(r) / (1 + r) - 1 という式で計算します。例えば、ETHを1,000ドルで預けて、現在2,000ドルになった場合、r = 2です。IL = 2 * sqrt(2) / (1 + 2) - 1 = 2 * 1.414 / 3 - 1 = 0.943 - 1 = -0.057、つまり約5.7%のILです。価格が4倍になると約11.1%、価格が半分になっても約5.7%のILが発生します。

手数料収入とILのバランス

ILが発生しても、手数料収入がそれを上回れば、流動性提供は利益になります。手数料収入は「プールの取引量 × 手数料率 × 自分のシェア」で概算できます。例えば、1日の取引量が1億円のプールで、手数料率0.3%、自分のシェアが1%なら、1日の手数料収入は約3万円です。ILと手数料収入を比較するには、少なくとも過去30日間の取引量データが必要です。The GraphやDefiLlamaで確認できます。

集中流動性の場合のIL

Uniswap v3のような集中流動性AMMでは、ILの計算が複雑になります。レンジ内にある間は資本効率が高い分、価格変動に対するILも大きくなります。レンジを外れると、ポジションは片方のトークンだけになります。RidgeLine AMMに付属する計算ツールでは、下限価格、上限価格、現在価格、投入額を入力するとILのシミュレーションが表示されます。感覚ではなく、数字で確認してからポジションを取ることを勧めます。

ILの計算は難しくありませんが、手数料収入との比較まで含めると判断が複雑になります。具体的なポジション設計について相談したい場合は、相談の窓口からご連絡ください。